子育てライフハック!「GO(金城一紀)」とシェイクスピアに学ぶこと


名前ってなに? 
バラと呼んでいる花を 
別の名前にしてみても美しい香りはそのまま
「ロミオとジュリエット」シェイクスピア(小田島雄志訳) 



最近、GO(金城一紀 作)を読み直しました。
小説の始めに上の言葉が書いてあるのですが、この詩を意識してもう一度読んでみると、まさにこの物語を象徴している言葉だということがよくわかりました。
ちょっと紹介したいと思います。


DVDも最高。




超大ざっぱなストーリー概略!
この小説は本当に大ざっぱに言えば、在日朝鮮人と日本人の女の子とのラブストーリー。
その中で、主人公がこの時代、この世の中を生きていく上で葛藤や憤りを感じ、それをバネに思いを強くし、何かに「情熱」を持つ過程も描かれている。




ストーリーの重要ポイント:国籍
主人公「杉原」は在日朝鮮人。いままで差別なんて怖くなかったけど、その女の子「桜井」に対しては違った。
差別されるのが怖かった。とても好きだったのだ。
国籍について、なんの意味もないと口では言っているものの、そのことはこれまで育った環境や経験から心に根付いているもので、口で言うこととは裏腹だ。
きっと色んな意味で日本人よりこだわりがある。

「杉原」はきっと、こだわりがあるが故に「桜井」に自分の素性をちゃんと打ち明けた。
自分が好きになった女の子はそんなくだらないことにこだわらない!というのを確かめたかったんだろう。



もう1つの重要ポイント:言葉で作られた偏見
女の子「桜井」は子どもの頃から、自分の父親に「韓国とか中国の人は血が汚い」と刷り込まれて育っていた。

偏見に満ちた言葉は、心を歪ませる。

小さな頃に純粋な心に刷り込まれたことは、自分の感じたことではなくても、言葉だけで体が反応してしまう。
「杉原」が意を決して打ち明けた直後、「桜井」はお父さんに言われたからというレベルではなく、心から怯えたようだ。

こういうケースでは、名前や言葉になんの意味もないと思う。
だけど心と体は刷り込まれた名前や言葉に敏感に反応してしまうのだ...

偏見とは本当に恐ろしい。
本当はあるべき素晴らしい未来の出会いを「消し去る」力を持つ。

このストーリーの中では、出会った時に「杉原」が本当のことを言うことをためらったおかげで、二人はお互いの理解を深めることができ、元々衝撃的に惹かれ合っていたこともあって、"名前"による偏見をクリアすることができた。ハッピーエンドである!



偏見のない心を育てる
ここまでまとめてみると、この本で言いたかったことは、最初のシェイクスピアの詩に集約されます。

「偏見」は単なる"名前"によって本来あるべき出会いや成長を消し去り、それだけでなく誰かの心を傷つけさえする可能性もあります。

逆に。
分類するための"名前"に捕われることなく、つまり偏ったものの見方、「偏見」を通さずに人やモノの本質を見つめる心を育てることで、未来は大きく広がるのではないでしょうか。

子育ての中で、オレは自分の持っている「常識」を「正解」だと思ってしまい、「正解」に誘導しようとしてしまいます。

だけど子どもには、
「正解」は自分の中にある。
そして人それぞれ違った「正解」を持っている。
ということを教えるべきだと思います。


未来のあるべき素晴らしい出会いのために、
言葉による偏見をなくし、多様な文化や生き方を当たり前に受け入れる。


改めて読み直して大事なことを教えられた気がします。
オススメの一冊。皆さんも是非読んでみてください。

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