異様な使命感をまとった若乃花の相撲は、いつまでも人の記憶に残る相撲。
今日の深イイ話で「なぜ若乃花は曙に勝ちたかったのか?」という話を聞いた。
お兄ちゃん(元:若乃花 現:花田虎上)いわく、
「弟(貴乃花)を優勝させたかった」
曙・貴乃花・若乃花の相撲が沸いていたのは、私が10代の頃だったと思う。
子どもながらに、若乃花の相撲は「優勝したい!」っていう気持ちが伝わってくるものではないな〜と思っていたのを思い出した。
どこか寂しげで、ある種の「使命感」のようなものを背負って闘っているようにも見えた。
曙に勝てば、優勝争いをしている弟が少しは楽になる。
曙戦で見せるあの"鬼のような気迫"は、その使命感から生まれたものだったのか。
「一歩間違えれば死ぬかもしれない」
お兄ちゃんは体重差が100kgもある曙に、本当に死ぬ覚悟で挑んでいたそうだ。
前の日は恐怖に震えて眠れない日もあったり、遺書まで書いて試合に望むこともあったという。
「花田家に初の横綱を」
「貴乃花にはその資質がある」
貴乃花の資質を信じ、花田家のメンツのために、お兄ちゃんは闘ったのだ。
一般人の私からみれば、正気の沙汰ではない。
それが素晴らしいことなのか、賞賛されるべきことなのか、私にはわからない。
だけど、あの芸術的な身のこなし、華麗な技、筋肉の動き、土俵際の粘り強さ。
なんか知らないけど、映像が脳みそに焼き付いている。
他の力士とは相撲を取る目的が少し違ったような雰囲気が、どこか好きだった気がする。
人の記憶に残るというのは、こういうことなのだろうと思う。